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平成男子

文系学部新卒SIerです。

僕にとってのコカ・コーラ

ふとした瞬間、無性にコーラを飲みたくなる。

 

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脳を切り開いて飛び出すような爽快感と厚い翡翠色の瓶の重厚感。

 

僕「あなたはドイツの建築物みたいに重みがあるのね。」

 

C「いいえ、私は MADE IN USA」

 

僕「もしあなたが火炎瓶だとして僕を殺してくれるなら愉快なことだと思う。」

 

C「あなた平成の生まれね。学生運動に参加したことないんでしょう」

 

僕「和暦を知っているの。」

 

C「私は火炎瓶になり得ないわ。それって着発式の投擲武器なんだから」

 

彼女との会話はいつも新鮮だ。

 

 

東京のおじいちゃん家に行く時、いつも不思議なジャンクショップの前を通った。

アメリカの年代物の雑貨を多く取り扱っていて、

店頭に見えるBetty Boopや Big Boy 等の個性的なキャラクター達が目を引いた。

 

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ヴィンテージの道路標識、レトロポップなサインプレート、

オランダの飾り窓で見るようなネオンライトの群居は当時8歳の僕を魅了した。

 

デジモンとかプリキュアとかにハマるような子ではなくて、

小さい頃から変わったものや不思議な物が好きだった。

 

13歳になるまでずっとその店を思い続けていた。

今考えてみれば、たったの5年という短い期間であるが、

子供にとっての時間の進み方は、大人のそれとは異なった。

 

artroot.jp

 

中学生になったら好きなことをやっても良いなんて風に考えて、

それまでとにかく自制心と期待を持って待ち続けた。

 

来たる夏、初めてお店に入った。

 

アメコミ、スロット、ジュースサーバー、ショッププレート。

 

横文字カラフルキラキラな世界に包まれた。

 

ソフトジャズが体を揺らすダイナミズム。

 

止まることを知らないネオンライト。

 

全てが五感に刻まれていく感じだ。人生で映画や音楽で泣いたことはなかった。

スターウォーズでクワイガンジンが刺された時にウルっときたくらいだ。

聴覚的なもの、視覚的なもの、何がこんなにも体を震わせるのか知る由もなかった。

 

店主のおじさんが奥から出てきた。

おじさんはニッコリ笑って、端に置いてある銀色の丸チェアーを引いた。

 

ーーーああ、ここカフェだったんだ。

 

カフェに来たことのない僕は戸惑った。

というか、メニューを見て更に驚愕した。

全ての飲み物がありえないくらい高い。

そして思ったより居心地の良い場所ではない。

 

でも僕には中学生になったばかりという仕様もない自尊心があったから、

意地でも店を出るつもりはなかった。

 

ああ、ビルゲイツよ、当時の僕に言っておくれ。

「世間は、君の自尊心を気にかけてはくれない。世間は、君が自尊心を満たす前に、君が何かを成し遂げることを期待している。」

 

一番安いコカ・コーラ600円を注文し、息をつく。

騙されたのかな、こういう客は多いのかな、考えを巡らせていた。

結論的に店長はサラリーマンの落ちこぼれという考えに落ち着いた。

なんせ、黒の汚れたズボンを履いているし、顔面ひげ人間だから。

 

 お金もったいないなって数回唱えた後に、おじさんはコーラを持ってきた。

後悔と恨みでいっぱいで、少し睨み付けたと思う。いわゆる逆ギレだ。

 

おじさんはニッコリ笑って、コーラについて語りだした。

どうでも良くて、目を合わせていなかったのにも関わらず、

彼はずっと話続ける。およ2時間くらい。いや3時間くらい。

派生して、歴史とかファンタとかについても話し出す。

 

コカ・コーラっていうのは一つの商標だけで、70年の成功を納めたんだ。」

 

この言葉だけ、ふーんと返事をした。

特に深い理由はなくて、なんとなく。

ずっと話しているおじさんが可愛そうになってきて。

 

でも妙にこの辺りから、居心地は良くなった。

店が明るくて、広い。コーラが美味しかった。